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【業務記録】2019-2020 お仕事まとめ

あけましておめでとうございます。

もう年も明けてしまいましたが、昨年まで1年間ぐらいの仕事を振り返りたいと思います。


じつは2019年春から2020年秋までの1年半ほど(短い…)会社勤めをしていたこともあり、あまり編集・ライティングの仕事はできませんでした。ただ、これまでのメインフィールドである歴史本とはがらりと変わったジャンルの媒体からお仕事をいただくようになり、歴史ものの媒体ではなかなか実現できなかった仕事ができたのでよかったです。


『文藝』2020夏号 特集:源氏!源氏!源氏! 

にて、論考「ケガレ・ミソジニー・シスターフッド」を寄稿。

→とても気に入っている論考です。角田光代さんの新訳によって『源氏物語』が読み通せたのもいい経験になりました。なんと、中学時代に漫画『あさきゆめみし』を読んで以来…! あの頃と決定的に違っていたのは、宇治十帖の浮舟を素晴らしく感じた点です。当時の女性としてきわめて少ない自己表現のひとつである、出家を遂げた彼女にスポットをあててまとめました。まるで音楽が鳴っているかのようなラストは圧巻です。


『エトセトラ』vol.2  特集:We LOVE 田嶋陽子! 

にて、書評エッセイを寄稿。

→版元・エトセトラブックスの松尾さん(激熱フェミニスト)との出会いとともに、とてもうれしいご依頼でした。大正時代の女性たちの政治活動に絡めて、田嶋さんの政治家時代に関する著書の書評エッセイを寄せました。大正~昭和初期に活躍したジャーナリスト・活動家の北村兼子をフィーチャーして書いてみました。

とりあげた田嶋さんのご著者では、選択的夫婦別姓に子育てに「慰安婦」問題にと、現在でもまったく解決されていない問題に対する田嶋さんの活動ぶり、見解がまとめられています。なにしろ、タイトルの『もう男だけに政治はまかせられない』が、まんま今の日本にドンピシャですから…。また同書にたびたび登場する福島瑞穂さんの奮闘ぶりが伝わってきて印象的でした。

2020年2月に、B&Bで出版イベントを行ったのもすごくいい思い出です。山内マリコさん、柚木麻子さん、堀越英美さん、王谷晶さんとご一緒しました。その後コロナ禍に突入するので、楽しかった打ち上げが遠い昔のようです…。


『エトセトラ』vol.3 特集:私の私による私のための身体

にて、連載「ここは女を入れない国」がスタート。

→〈女人禁制〉をテーマに、政治や文化、宗教、学問、スポーツなどなど、さまざまな分野における女性の排除について書いています。第一回は大相撲。2018年の土俵降りて問題では、その2か月後に医大入試問題が起きたことからさほど騒がれず、しかも日本メディアより海外メディアのほうがきちんと取材されて報じられていました。


『エトセトラ』vol.4 特集:女性運動とバックラッシュ

にて、エッセイ「炭鉱女社会」と連載(歌舞伎と女人禁制)を寄稿。

→北九州の炭鉱社会で働く芸者・仲仕・炭鉱婦たちのストライキや米騒動について書きました。松尾さんから「なにか熱いものを」と言われ、書いているうちに腹の底から熱くなり、なかなか熱いものに仕上がったと思います。笑 著書『姐御の文化史』の取材や調査でずいぶんと詳しくなった分野であり、おもしろい人物もいるので、またどこかで紹介できたらと思います。

連載では、女性芸能の簒奪・独占としての男歌舞伎という切り口で書きました。学生時代、脇田晴子や網野善彦の本をよく読んでいたのですが、中世はやはり芸能や庶民の世界がおもしろいなあと思います。遊女にしても、近世のそれと比べると明るいというか。


ほか、歴史ものの新書のライティングの仕事が2,3本。書評を2本書きました。

編集の仕事では女性団体の機関誌を請け負いました。


2021年からは会社の仕事を請け負う形で地域女性史の聞き取りの仕事もレギュラーですることになり、こちらも楽しみです。




もうひとつ大きかったのは、2019年9月に単著『姐御の文化史』を発行できたことです。

調査・取材を始めてから5年ほどたっており、大事な企画だったのでこちらも大変うれしかったです。出版タイミングもよかったのか、版元さんのおかげもありラジオや新聞、WEBなどで取り上げていただきました。


【内容】

江戸時代から近現代までの姐御たちを、史実とエンタメ(浮世絵・浄瑠璃・歌舞伎・小説・宝塚・女剣劇・時代劇映画・任侠映画etc.)からひもとく、ちょっと変わった女性史本です。教科書には載らないけれど、胸を熱くするロールモデルをたっぷりと紹介したので、ぜひ読んでいただきたいです。



小村雪岱のシックな表紙が目印。デザインは川畑あずさ さんです。

この姐さんは「毒婦」でおなじみ高橋お伝。毒婦とか悪女とかなんなのさ? ということも、歴史をさかのぼって考察しています。



【メディア掲載】

★文芸評論家の斎藤美奈子さんが、週刊朝日「今週の名言奇言」に『姐御の文化史』の書評を寄せてくださいました。光栄! 恐悦至極!

「〈自らの強さを、てらいなく弱者救済に使える者こそが、姐御〉。近世近代の女性を見る目がちょっと変わる」


★作家の柚木麻子さんが、日刊ゲンダイ連載にて『姐御の文化史』について書評を寄せてくださいました。恐悦至極!

「エトセトラVOL・2のWe ♥ Love 田嶋陽子!」。いよいよ編集作業も大詰め。忙しいけれど、依頼させていただいた執筆陣の一人の伊藤春奈さんの新刊「『姐御』の文化史」(DU BOOKS 2200円+税)に夢中だ。

ハリウッド映画のような女ヒーローが、実は日本にも江戸時代から、フィクションと現実両方に存在してたという、丁寧な検証に引き込まれる1冊」

「ホモソーシャルそのもののような幕末モノ、任侠映画や時代劇にも、女性をエンパワメントする要素がある、という伊藤さんの見方に世界が広がる」

田嶋陽子=姐御説も!


野中モモさんが、GQ「モダンウーマンを探して」にて、『姐御の文化史』を紹介してくださいました。とても丁寧に読んでいただき、ありがたい! いつも拝読している記事に取り上げていただいて嬉しかったです。


★毎日新聞(2020.2.9)にて作家の山内マリコさん「今週の本棚 フェミニズム」にて『「姐御」の文化史』を紹介してくださいました。 「明治維新後、いかに戦略的に女性が差別される構造を男たちが作ってきたかがわかる」 毎日新聞 ※会員の方は全文がご覧いただけます。


近藤真弥さん「2019年の本ベスト10」に『姐御の文化史』を選んで下さいました! 他の本は、私も気になっていた多彩な良書ばかり。ありがとうございます。


★評論家の栗原裕一郎さんが、東京新聞、中日新聞にて『姐御の文化史』を取り上げてくださいました。

「女性理解が時代を超えていた作り手として、作家の長谷川伸や火野葦平、監督の加藤泰らが浮上してくるのが興味深い」


★「しんぶん赤旗」(2020.1.19)に『「姐御」の文化史』の書評が掲載されました。

河出書房新社『韓国・フェミニズム・日本』単行本などのフェミ本と一緒に紹介されています。


★「西日本新聞」(2019.11.30)にて、『「姐御」の文化史』が紹介されました!

「女手一つで身をたてた実業家、幕末・明治の良妻賢母像から外れて自分らしく生きたお龍(坂本龍馬の妻)など史実で「姐御」像のモデルとなった女性たちを紹介します」


『東京民報』(2020.7.19)にて演芸評論家の柏木新さんが書評を書いて下さいました。

ーー「役に立つ本」、「人生の糧になる本」はたくさんあります。しかし、それに「面白くて」という言葉が加わる本は多くはありません。この著作はその言葉がピッタリと当てはまります」

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